坂井が歳をとったら、我々も歳をとっているのです(20190216 マッスルマニア 2019 in 両国~俺たちのセカンドキャリア~について)

20190216
マッスルマニア 2019 in 両国~俺たちのセカンドキャリア~
両国国技館

坂井が歳をとったら、我々も歳をとっているのです

直前まで行く予定じゃなかったんですが、たまたま録画したバトルメンを見ていたら行く気になった人のお陰で一転両国に行くことになりました。

サムライの生放送枠が興業開始から4時間とられていたんですが、さすがにみんな大人になったんだから3時間半くらいには収めてくるんでしょう?と思いながら向かいました。

坂井が引退したあの日から、結果的に武道館のプチ復活みたいなものは見ましたが、ハッシュド大家帝国とかは見に行っていませんし、DDTからもだいぶ足が遠退いていて、いよいよ去年は夏の両国にも行きませんでした。

そして、ササダンゴマシン選手の活躍もTVショーで見る感じで、なんとなく坂井に対してのもやもやは消えることはありませんでした。

そんな感じではありましたが、見に行くことになったので8年ちょっと前の私はどういう気持ちでマッスルを見ていたのかと思い、昔書いたものなどを引っ張り出してきたりはしましたが、泣いてるか怒ってるかだったので今日も泣いたり怒ったりするのかなという気持ちでした。

とはいえ、両国は大きく、あの頃後楽園ホールで上手くいったり失敗したりを繰り返していたマッスルですので、ここで裏に行く可能性も全然あり得るという自分と関係ないのに心配になってきて、困ったなと思ったりもしていました。坂井の声こもってるから声通らないんだよな、とか本当に余計なことばかり。

国技館に着いてチケットを受け取り、鳥羽に会釈して15年ぶりくらいの知り合いに会って感動して入場しました。

入場した後もなんとなくそわそわしていて、トイレにいったりなんだりしていたら、丁度通る通路に高梨とチェリーと元川がいて向こうはなんとも思ってないと思いますが、こちらはただ気まずいなと思いました。もっと良い席で見てください。

突然、スクリーンにスマホのタイマーが映し出され、カウントダウンがはじまりました。

そして、客電が落ちてロッキーのテーマでライムスター宇多丸さんの登場。
本人見るの初めてだったけど、遠くから見ても本物だって思いました。

ロッキーシリーズ、クリードの話を引き合いに出して、マッスルという興業の成り立ちを恐らくはじめて見る人の方が多いであろう両国の客席に向かってスピーチしました。(たぶん宇多丸さんも初見だと思うけど)

宇多丸さんが尊敬する映画評論家、荻昌弘さんがロッキーを評した「これは人生、するしないの分かれ目でするという方を選んだ勇気ある人々の物語」という言葉の引用を繰り返して、クリードはボクシング、宇多丸さんは日本語ラップ、坂井はプロレスをやらざるを得なかった、マッスルは間違いじゃないことを証明するために、興業スタート。

素晴らしい開会宣言で、既に涙腺に来るものもあったけど、いかんせん正直ちょっと長尺過ぎたのでは?と思ったりもしましたが、最終的にはそんなことなかったです。先に謝っておきましょう。申し訳ありませんでした。

そしていつものLONRY DAYSからのVTR、今日の前半戦の設定を説明する。どうせ後半戦は無茶苦茶になるのだ。

40年に一度開催されるプロレスリンピックが次回東京で開催が決まって、鶴見亜門がプロデューサーになったとのこと。日本代表を決める為の試合としてペドロさんの引退試合を使うと。

引退をしたら軽々しく復帰をするな、失踪したら二度と戻ってくるな、引退決めたら撤回するな、と何人かの顔が下を向く台詞を残して、VTRは終わりペドロ高石引退試合に。

ペドロさんの引退試合は雑な6人タッグ、何故か小鹿さんがいるのでそこはかとなく豪華に見える。ペドロさんはコンディション良さそう、普段からたまに見せてたけど、この日は全開で空中殺法を出して大活躍のはずが、ことごとくタッチがレフェリーのブラインドになって試合権利がなく、そのまま小鹿さんの喉輪落としであっさり決着、そして引退セレモニー。

本職の部下である、この日欠場のシモジマUZことMrマジックから花束、趙雲の世を忍ぶ仮の姿からのビデオメッセージ、そして大仁田からの手紙を佐野が代読、テンカウントゴングが終わると坂井達が入ってきて、引退試合なのに全然目立ってなかったなんなんだ!と亜門に抗議すると、もう一試合用意してあるからと暗転するとバカサバイバー、青木が出てきて2試合目の引退試合

これが誠意ってやつなのかなって思いながらヘロヘロの50のおじさんが、現役の総合格闘家とやりあう様を見た。結果はそれはそれ、もう一度引退セレモニー、今度は趙雲から花束贈呈、五味さんからのビデオメッセージ、そして息子の伊織くんから手紙、この日二度目のテンカウントゴング。最後のスピーチでは、ポルトガル語が少し喋れるから、リングスでブラジル勢のセコンドをしていた、それが同じ両国のリングで青木と試合できたことを感謝しますと言っていた。

感動の引退もそこそこに東京プロレスリンピックの代表は誰に決まったのか?というところに話が移る。亜門さんが代表は青木選手に決まってるじゃないか!となるが、それ以外の競技にも代表がいるだろう、他の代表を決めようと提案されて、代表クラスの格のプロレスラーを決める為、プロレスラー格付けチェックデスマッチをすることに。

4チーム参加の格付けチェックデスマッチは、ただのクイズコーナー、元ネタの格付けってこういう番組だけど。
この中でペドロさんの引退試合が2回あった理由が判明、プロデュースしているのはどちらだ?という問題、東京03豊本と藤岡メガネ、「お尻舐めてあげる」を大仁田からの手紙にちりばめていた、1回目の引退セレモニーが豊本演出であったというオチ。逆水平問題で声を出した伊藤に、お前はそれでいいやと思ってしまいました。
※4チーム:男色&山里、坂井&黒川、本多&酒井、大家&ヤス&大石
2チームは不正解で脱落するも、3問で決着がつかず、男色チームと坂井チームが残り、どっちがプロレスリンピックの代表になるのかともう1問やろうと揉めていたら、亜門さんがプロレスらしく試合で決着をつければいいと提案、急に試合だと言われても困ると男色、坂井が言うと、この後1試合はさんでさらに休憩後ならいいだろ?と説得されて、その時間で遺恨を作るということに。

休憩前の試合は純烈新メンバーオーディション2019 時間差バトルロイヤルは、坂口のお兄ちゃんの可愛さ、アントンのお父さんの可愛さ、酒井一圭HGのはみ出たおなかの可愛さ、アンドレジャイアントパンダの可愛さみたいなものが混ざり合う可愛い空間でした。結果的にアンドレジャイアントパンダが優勝して、純烈は4人と1頭で再出発するっていうと事になりましたが、試合の後に歌った曲でパンダが踊ってるの可愛かったですね、3mありますけど。みんな背が高くてホントに画になるグループだ。新メンバー3mありますけど。

純烈新メンバーオーディションが終って、休憩に入る時に場内に「純烈ファンの皆様、休憩終了後も純烈の出番はございます」というアナウンスを入れていたのが、色んな意味でホスピタリティが高いなと思いました。

休憩まで見ていて、これは「マッスル」だけど、「これまでのマッスル」とはだいぶ違うなっていう風に思っていました。坂井がその場にいなくても成立している試合があった。そして、ペドロさんの家族が登場人物になったり、アントンのお父さん渡辺哲さんが普通に出てきたり(これまでも出てくることはあったけど)、マッスルメイツだけではなくその周辺の人も巻き込んで、みんなでやっている、みんなで作っているという感じがすごく感じられた。これは本来なら味方であるべき登場人物からもリング上で糾弾されていたあの頃とは全く違う世界があった。いつも坂井は、これだけ周りに仲間がいてもたぶん一人でマッスルをやっていたんじゃないかなと思います、それは当然仲間が担う部分も少なくなかったとは思いますが、最終的には坂井が動かないとマッスルは動かないものだったと思います。坂井はひとりぼっちだった。でも、今回は違うと思いました。これが成熟なんじゃないかなっていう風に思いました。坂井も変わったし、周りのみんなも変わった。そんな風に感じていました。

そして、休憩中のBGMで知っているナンバーガールの曲が流れてきたので、思わず「ナンバガだ」と声が出ました。

後半戦は、格付けデスマッチでできた遺恨を清算する試合です。
3日前のVTRからスタート、DDTの事務所で何故マッスルを今回両国でやることになったかを高木社長と今林AP?が話をしています。前パブ・後パブの説明、今回のマッスルは次の日に行われるDDT両国大会の前パブになってくれればいい、集客はあまり気にしていないということを高木社長が語り、効果的な前パブになるように、Yahooのトップに来るような興業にしてもらえれば良いという。今林APはマッスルにはそんなに上手くニュース(炎上)を作れるような人間はいないと嘆く。そんな中で上手く炎上させる企画を作れるプロデューサーを思いついたってことでTBSへ、藤井健太郎かーってなりました。前パブ用に1試合プロデュースしてくれることになったところで、「試合後に記事になるんじゃ遅い」と藤井P。これは発明だなと思いました、前日の深夜とか興行の当日に記事が上がっても見れないし見るタイミングによっては間に合わないからね。

試合中にあらかじめ用意した記事を先に出して、試合を記事に合わせるという、敗者キャプテン肛門爆破ネットニュース時間差掲載タッグデスマッチという水曜日のダウンタウン的な試合に流れていく。クロちゃんはこれのためにいたのかっていう。

試合中に様々な記事が出て、それを本当のニュースにしてくために試合をして行く4人。これまでなら、坂井と男色が必死に観客をリードして行く場面、坂井がこもった声で説明しながら試合をしなきゃいけなかったであろう場面なんだけど、狂言回しとして山ちゃん(この人も声がこもっているけど)が状況の説明をして、次の展開へと繋いでいく、クロちゃんは山ちゃんと共に記事を現実にして行くキーパーソンで、坂井と男色はそれをサポートする役回りになっている。主役が坂井ではないのだ。

過去のマッスルでは、なつる(726)が主役になったこともあったし、藤岡(メガネ)が主役になったこともあった、それでも坂井がコントロールしているという安心感の元に成り立っていた。そして今回の坂井は(リング上では)本当に大したことをやっていない(ように見えた)のに成立したのがとても良かった。昔のマッスルなら、フランケン吉野とかマンモス半田がしていたであろう役回りを有名芸能人のクロちゃんがしているのだ。有名芸能人であり、芸人である山ちゃんとクロちゃんが演者として出ているわけだから、坂井が丁寧にコントロールしてあげる必要はないわけだ。こんなマッスル初めてだよ。

藤井健太郎のテイストが効いた試合は、ネットニュースの通りクロちゃんの自宅でも試合がはじまり、リング上の試合とシンクロしはじめる、リング上にはパイプ椅子が持ち込まれ、クロちゃんの家ではベッドの上にテレビが置かれた、リング上では男色が坂井をゴッチ式パイルドライバー、クロちゃんの部屋では原島がMAOを正調パイルドライバーで打ち込んだ。リングでは坂井が3カウントをとられてクロちゃんの肛門が爆破されることになり、安心した山ちゃんが口を滑らせた「代わってやれるもんなら代わってやりたいよ」。最後の前パブ記事がドロップされる「南キャン・山里亮太の男気に両国が泣いた!クロちゃんの身代わりで爆破を志願!」。花道の奥に連れていかれてお約束の肛門爆破を受ける山ちゃん、この試合最後まで坂井が主役にならなかった。

坂井が主役になるのは、ここからメインイベントまでの数分間。ササダンゴマシンとして復帰してからの得意技であるところのパワポだ。
メインイベント、アントーニオ本多の対戦相手にふさわしいのはどんな選手なのか、マッスルの両国大会のメインイベントで試合をするのにふさわしいのはどんな選手なのかを分析、解説する坂井。マスクをしていない坂井のパワポ解説は聞きやすい。
マッスル両国大会のメインイベントをつとめる選手の条件は、他団体で両国のメインに出ていない、どちらかというと試合には負ける、そして週プロ選手名鑑に載っていない選手。
そんな選手とアントーニオ本多が両国のメインで試合をしたら、マッスルでしか見れない両国大会のメインが見れることになるだろうし、アントーニオ本多という選手が大きく変われるかもしれないということで、選ばれた選手は暗転したリングの上に既に座っていた。DJニラだ。これには思わず声が出ました。
DJニラは、過去のマッスルではレギュラー的な存在でしたが、この日は登場していなかった。そして今では本当にたまにしか試合を見る機会がないので、プロレス自体もフェードアウトなのかな?っていう存在だ。
確かにマッスル以外でこんなメインは行われないだろう、でも期待感だけはどんなメインよりも感じるのは間違いない。というか、この座組だけでグッとくるものがある。それは私がニラさんを好きなだけではないでしょう。

坂井がアントンが赤コーナー先入場するので、一旦戻って青コーナー後入場してくださいとニラに指示して、ニラがリングから降りるとアントンの入場曲が流れてお父さんをセコンドとして引き連れて何度目かの登場、そしてニラさんは無音の花道をロッキー川村を連れて入場、ここで開会宣言の回収か!と思ったら、そんなことでは坂井は終わらせなかった。

アントンとニラの試合は他所の人の好き嫌いはよく分からないですが、私は好きですし入場の時点からだいぶ泣いていたように思います。コミカルな試合ではあったし、まあなんていうんでしょうか、高度な技術や命の削りあいのような試合ではなかったと思いますが、ある種の高度な技術であるとか、ある種の命の削り愛ではあったように思います。そこには等しい感動がありました。私は見ていませんが、例えば市ヶ谷のマットの上で繰り広げられた試合と何も変わらないのかもしれませんし、それこそ精神的なものは変わらないとは思います、それを両国国技館のメインイベントでやりきったのはやはりすごいことではあるなと思いました。ニラさんのコーナーから場外の相手への投身自殺みたいなのとか、普段からやってるのかもしれないですが、特別な試合であるという感じはありました。

そして、フィニッシュ前にはスローモーション。ここでグッと宇多丸さんの開会宣言で引用された、ロッキー、クリードを回収していくモノローグ。
このモノローグがこれまでの使い方とは違っていたなって感じて、これまでのあの部分のモノローグは設定の「虚」を、試合している本人の「実」の方に引っ張る演出だった気がするんですが、昨日のはより「虚」に振ってたから何となく違和感がありました。それが悪かった訳ではないのですが。
ニラさんはクリード、親をアントンの親であるロシアのファイティングサイボーグであるドラゴ(渡辺哲)に殺された、復讐の為にロッキー(川村)のトレーニングを受けて戦う、アントンに負けるわけにはいかない。一方アントンは父親のドラゴ(渡辺哲)はロッキー(川村)に負けて全てを失った、そのロッキー(川村)の弟子である、ニラに負けるわけにはいかないという。

私はロッキーはそこそこ見てますが、クリードは見ていないので解釈に間違いがある可能性は大きいですが、あまり気にしません。
そして、試合の結果が思い出せないなと思って、確認してきたらタオル投入による両者TKOでした。どっちが勝ったんだっけ?と思ったら、どっちも勝ってませんでした。思い出せないわけだ!


メインが終って、余韻に浸りつつも純烈の歌う「星降る街角」に乗り両国の会場を練り歩く、純烈と出場選手たち。純烈というか酒井一圭が紅白出場という最強のカードを持ってマッスルに出ることには本当に夢がある。その後のスキャンダルもこの日いじり倒して、さらに新メンバーのアンドレジャイアントパンダにも女性問題が発覚して即日解雇、そして宣言通り4人の純烈でまた紅白に帰るという目標を掲げる。夢、夢のその先、仲間、そして新たなる夢、これこそ事実は小説より奇なりっていうやつなんでしょう。それがマッスルを媒介として見れるというのは、坂井が持つ力なんだろうなと思いました。


全てが終って、坂井はまたマッスルがやれればいいなということを言っていました、2030年までに何回あるのか、どのくらいの頻度になるのかは分かりませんが、いつのまにか東京ドームでやることになっていた2030年に向けて、マッスル坂井として見せて行ってくれればいいなと思います。ササダンゴマシンはよく分からない。


そして、メインがはじまるあたりから完全に怪しいなと思っていましたが、結局4時間半興行になってサムライの中継枠では収まらなかった。これだけ成熟したとか、みんな大人になったとか思ってたけど、結局この人たちはこうだよ。まあ仕方ないですね。

今回に関しては、2010年「マッスル終わるまでに坂井が積み上げたもの」の上に、それ以降の「マッスルが終わってから坂井が積み上げてきたもの」が綺麗に乗っかって奇跡的に崩れなかった結果かなっていう気がしました。
期待と信頼からくる、結果への心配で押し潰されそうになって両国に行ったけど、坂井は坂井だったし良い仲間が集まったなと思いました。それでいて客の入りがそこそこだったから日本もまだまだ捨てたもんじゃないっていうか、生きるスキがあるなって思いました。あんなもんで両国が満員になったら、逆にどうなってる!?ってなります。

メイン前のアントンの相手が誰か?ってなった時に、一番最初に頭をよぎったのは佐野でした。会場に来てたしなんか丁度良さみたいなもんがあるなと思いましたが、よくよく考えると両国のメインに出て勝ってる側の人間だったので違いました。あとはなつるかなと思いました。

久しぶりのマッスルで、もっと同窓会的になるかなって思いましたが、それほど知り合いに会わなかった。
そんな中でも、はじまる前に15年ぶりに会った知り合いは、普段新日しか見ない人を連れてきたって言ってたけど、どういう風に見たんだろうな。酷い目にあったと思っていなければいいな。

10年経ったら文章の書き方が変わってたという実例です。

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その日はいつかきます(20101006マッスルハウス10~負けるから即引退させてくれSP~について)
http://gase-neta.hatenablog.com/entry/2010/10/06/000000

20100504 マッスルハウス9
http://gase-neta.hatenablog.com/entry/2010/05/04/000000

結局(20090504マッスルハウス8について)
http://gase-neta.hatenablog.com/entry/2009/05/05/235715

たとえそれが台本であったとしても(20090103マッスルハウス7について)
http://gase-neta.hatenablog.com/entry/2009/01/04/000000