ガクセイプロレスラーと私
この作品が上映されたりDVDを売っていたりという時期は、プロレスからちょっと距離をとっていた頃だったので見る機会がなかったんですが、最近どうしても見たいなと思っていたら、星に願いが叶い、運良く見られる機会があったので感想というか諸々を。
作品紹介みたいなところはまだ色々サイトが残っていますので割愛するとして、この映画に対して思うところというのは、うらやましさしか無いなということです。
非常に個人的な話になりますが、私が高校生くらいの頃に学生プロレスがちょっとしたブームというか、深夜帯とはいえ地上波で(まあ当時はテレビといったら地上波でしたが)後楽園ホール大会が流れたり、特集する番組があったりしてカルト的な人気があった頃でした。
当時、もうあまり勉強するタイプではなかったので成績も悪く今にして思えばなんでそこまで自信があったのか分かりませんが、自分は大学に進学して学生プロレスをやるんだなと思っていました。
特に大した運動もしていない、体重100キロを超えた体を持て余した少年は漠然とそう考えていたんですね。
とはいえ、そもそも高校を選ぶ段階で色々と間違えていたというか、成績が悪かったので選択肢もあまりなかったわけですが、よりによって工業高校へ進学をするわけです、公立に受かったので。そういう世界観に生きていました。
そこには中学生が想像していた楽しいハイスクールライフは当然ありませんでしたし、勉強も進級ギリギリで一般的には施行されていない進級試験受けている有様でした。
そんな状態だったので、当然大学になんか行けるわけもなく、仲の悪かった担任に地方の工科大学なら推薦書いてやってもいいぞとか言われましたが、借りを作るのも嫌だったので地元の専門学校に行きました。
ようやくそこでそこそこの学生生活を送って、さあ就職となった時、真面目に就活をしていなかった私に仕事はありませんでした。
その時、私は何者にもなれませんでした。
そんな私にとって「ガクセイプロレスラー」は眩しい青春映画でした。
私がアイドルを見ているのは自分になかった青春を重ねているところがあります。実際は重ねるも何もそもそも存在していないので、これはただの妄想です。ただキラキラしていて、あの工業高校生時代には考えられない青春を高速で消費しているアイドルに惹かれる部分があって多分見ています。そこに感じるキラキラしたものと同種のものがこの映画にはありました。
キャンパスライフ、サークル活動、そしてプロレスです。そこには青春の浪費が有りました。
私はそこそこの年齢なので結構早い段階で憧れて、早い段階で諦めた世代のプロレスラーになりたかったプロレスファンです。そして、学生プロレスラーにもなれませんでした。
この映画を撮った今成監督も、出ている当時の学生プロレスラー達も就職活動もそこそこに、卒業さえも危うい学生のサークル活動にうつつを抜かした姿を笑って見てもらえればという風に作っていたのかもしれません。
ただ、この学生プロレスラー達は、真剣にうつつを抜かしているんだということが伝わってくるところにやはり眩しさみたいなものを感じてしまいます。
今成監督曰く、「ちんこ映画」とのことですが、ちんこの場面のこういう先輩いるし、こういう先輩後輩の関係がイヤなんだよなとか、あるあるないないみたいな部分で笑ったりもしましたが、そういう部分にも青春の輝きみたいなものを感じました。
もう何年も前の作品ですし、当時色んな評価を受けたものなので今更何をという話ではありますが、当時と違うところはこの後数年間の今成監督とエロワードネゲロ、そして今の2人のことを多少知っていてこれを書いているところだと思います。
当時、青春の中にいた今成監督もエロワードネゲロこと冨永も、その後紆余曲折あって今もプロレスをやっているということで、永遠の青春を生きているんだなと思っています。やっぱりうらやましいしかない。
そういった意味でも、感想を今成監督に直接言うのはどうしても照れますし、冨永に至っては試合を見てるだけで、まともに喋ったこともないですし。
今更「キラキラした青春ドキュメンタリー映画でした!」っていうのも嘘っぽくなるので、今回はこういった感じで書くことにしました。
今成監督にはまたドキュメンタリーを撮ってほしいなと思います。今度はもっと長尺の。今は忙しくてそれどころではないとは思いますが、以前もう寝ないって言ってたので寝ないでやれば出来るんじゃないのかな?ただ頑張ってくださいしかないです。怪我だけはしないように。
以上です。